2014年03月17日
ツンデレにデレはいらない、なんて言う方も世の中にはいるが、私はやはり、デレも必要だと思う。
なぜなら、人間、ひとつのものを溜めこみすぎると、別の場所で爆発してしまうから。
それどころか、思考パターンを変な方向にこじらせて、余計面倒くさい人間が出来上がってしまうからである。
『あっくんとカノジョ』(MFコミックスジーンシリーズ)に登場する、あっくんも、そのパターンに陥ったややこしい人間のひとりだ。
荘 敦大(かがり あつひろ)17歳、高校生。通称:あっくん。
片桐 のん(かたぎり のん)同じく17歳、高校生。通称:のん。
「キモイ」「ウゼェ」が口癖のあっくんは、彼女ののんに対する態度も、暴言、ガン無視、当たり前の超ドライなツンツン男子。
だが、その実態は、彼女が好きすぎてたまらない、スーパーツンデレストーカーだった!
とはいっても、彼女の前ではそんな素振りは全く見せず、冷たい態度を貫き通すあっくん。そう、彼のデレが主に発揮するのは、彼女がいない場所でなのだ。
普段は片桐と呼び、常に冷たく接するあっくんだが、彼女の前以外では、“のんたん”と呼んでしまうほど、デレデレ。
のんたんが好きすぎて盗聴、盗撮、録音、尾行はお手のもの。
おはようからおやすみまでのんたんの暮らしを見守っているあっくんにとっては、最早、のんたんが好きすぎて世界の全てがのんたん状態なのだ。
……ここまでの紹介を読んで、一体何言ってるの、この人。ていうかこれただのストーカーじゃ……と思われた方もいるかもしれない。
安心してほしい、その反応が正常である。
だがしかし、思い出してみてほしい。
小学生の頃、皆さんの周りにも、好きな女の子をいじめてしまう男子がいたのではないだろうか。
好きな子の前だと恥ずかしくて素直になれず、どうも変に意識してしまって、思った通りの行動ができなくなってしまう……子供の頃にはよくあることだ。
そんな子供たちの姿を見て、我々大人は微笑ましいなあ、なんだか甘酸っぱいなあ、などと思いながら、彼らの成長を温かく見守るわけだ。
あっくんの場合、それがちょっと、いや、大分、どうしてこんなになるまで放っておいたの! と思われるぐらいアウトなラインに存在しているが、のんたんに対する一途な愛情は本物である。
彼はただ、不器用なだけなのだ。
それに、あっくんとのんたんはきっと幸せなのだろう。
その証拠に、あっくんのストーカーっぷりには気づいていないものの、のんたんのあっくんの扱い方は長年連れ添った夫婦のような安定感がある。
人の恋地を邪魔する奴はなんとやら。
あっくん、のんたん。ふたりとも末永く爆発して下さい。
(評:ラノコミどっとこむ編集部/やまだ)